本年度の記録

2018 年 5月 17日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
菊地 光嗣 氏(静岡大学)
題目
非線形の強粘性項を持つ発展方程式に対する解の存在と一意性
要旨
本発表では,準線形双曲型方程式に対してラプラシアンを時間で微分した項を付加して考察することがある。この項のことを強粘性項と呼ぶ。ラプラシアンは線形の作用素であるが,本発表ではこの部分を非線形にした方程式に対して,エネルギー汎函数の増大度が適当な条件を満たせば解が一意的に存在することを報告する。

「OS特別セミナー」
2018 年 5月 11日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科 数学棟2階201室
発表者
水上 雅昭 氏(東京理科大学 理学研究科)
題目
感応性関数をもつKeller-Segel系の大域解の存在と有界性
要旨
本発表では, 感応性関数をもつKeller-Segel系の初期値境界値問題について考察する. Keller-Segel系は化学物質に引き寄せられる生物の運動に関する数理モデルであり, 感応性関数を導入することで化学物質の濃度の高いところでは走化性が抑制されるという現象を記述している. 先行研究において, 特異な感応性関数をもつKeller-Segel系については, Winklerがある条件の下で大域解の存在を導出し, Fujieがその解の有界性を導出した. しかし, 生物学上重要な意味をもつ一般の感応性関数の場合には, 有界な時間大域解の存在を導く条件はまだ得られていない. 本発表では一般の感応性関数の場合について扱い, 感応性関数を用いたエネルギー関数に対する評価を導出することで, 解の時間大域的存在と有界性を導出する感応性関数の適切な条件を明確にする. また, それにより, 特異な場合と一般の場合を数学的につなげることを目指す. 本発表は横田智巳先生(東京理科大学)との共同研究に基づく.

2018 年 5月 10日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
白川 健 氏(千葉大学)
題目
非等方的効果と方位の回転効果を取り入れたエネルギー勾配系による数学モデル
要旨
本発表では、 エネルギー汎関数に非等方的効果を取り入れることでリアリスティックな現象再 現を実現しようという試みには、「非等方的曲率流」に代表される結晶成長を表 す自由境界問題の分野などに、多くの先行研究の報告例がある。よくある研究手 法として、自由境界の幾何学的構造をWulff図形と呼ばれる非Euclid距離の単 位閉球を用いて特徴づけする方法が挙げられるが、実際にこの手法に則ってエネ ルギーに多面体構造を持つWulff図形を組み込んで勾配流を構成すると、例えば ミョウバンや氷などの結晶形成に近いプロセスを再現することが可能となる。ま た最近では、Wulff図形が方位 (角度) の変化によって回転する効果を取り入れ ようというアイデアも加わり、このアイデアを取り入れた結晶粒界運動の数学モ デルや、画像の高精度なノイズ除去のアルゴリズムなど、数理・工学の幅広い分 野において研究成果が報告され始めている。本発表では、こうした非等方的効果 と方位の回転効果とを組み合わせたエネルギーの勾配系による数学モデルをいく つか取りあげ、これらのモデルにおける「共通した解析手法・困難」や「モデル の導出・数学解析の着眼点に現れる相違点」等について考察する。更に時間が許 すならば、近年得られた新しい試作モデルの例を示し、導出のアイデア等を説明 しながら研究の今後の展望についても紹介する。

2017 年 5月 3日 (木)

お休み

2018 年 4月 26日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
小薗 英雄 氏(早稲田大学 理工学術院基幹理工学部/東北大学 数理科学連携研究センター)
題目
Characterization of harmonic $L^r$ vector fields in 3D exterior domains
要旨
In this talk, we characterize the space of harmonic vector fields in $L^r$ on the 3D exterior domain with smooth boundary. There are two kinds of boundary conditions. One is such a condition as the vector fields are tangential to the boundary, and another is such one as those are perpendicular to the boundary. In bounded domains, both harmonic vector spaces are of finite dimensions and characterized in terms of topologically invariant quantities which we call the first and the second Betti numbers. These properties are closely related to characterization the null spaces of solutions to the elliptic boundary value problems associated with the operators div and rot. We shall show that, in spite of lack of compactness, spaces of harmonic vector fields in $L^r$ on the 3D exterior domain are of finite dimensions and characterized similarly to those in bounded domains. It will be also clarified a significant difference between interior and exterior domains in accordance with the integral exponent $1 < r < \infty$. This is based on the joint work with Profs. Matthias Hieber, Anton Seyferd, Senjo Shimizu and Taku Yanagisawa.

2018 年 4月 19日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
坂本 祥太 氏(東北大学 大学院理学研究科)
題目
速度重みつきChemin-Lerner空間におけるボルツマン方程式のコーシー問題の大域解
要旨
本発表では、希薄気体中の粒子の運動を記述するボルツマン方程式の、定常解周りでのコーシー問題を考える。分子の衝突の効果を記 述する衝突作用素は適当な積分核を持つ積分作用素で記述されるが、これは衝突の速度因子・角度因子それぞれに関して特異性を持ちうる 。Duan-Liu-Xu (2016)ではどちらの因子にも特異性がない場合において、空間変数に関してベソフ空間を用い他変数の $L^p$ 空間混合型の、C hemin-Lerner型と呼ばれる空間で小さな初期値に対して一意大域解を構成した。この結果は速度変数に関して $L^2$ 空間を用いているが、角度 ・速度両因子の特異性(特に速度の特異性が相対的に弱い場合)を仮定し速度 $L^2$, 空間 $H^s$ (両因子の特異性に応じて十分正則なソボレフ空 間)で解を構成したArexandre-Morimoto-Ukai-Xu-Yang (2011-12) や、特異性の仮定の下DLXと同じChemin-Lerner型空間を用いたMorimoto- Sakamoto (2016)の方法では、角度の特異性がないが、速度の特異性が非常に高い場合を扱うことができないと予想された。このため速度に 関して重みつき $L^\infty$ 空間を用いてコーシー問題を定式化し、一意大域解を得た。発表ではChemin-Lerner空間の定義、$L^2$ 空間が働かな いと予想された理由などを述べながら、この結果の証明を概説する。本発表の内容は、香港中文大学の段仁軍教授との共同研究に基づく。

2018 年 4月 12日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
高村 博之 氏(東北大学 大学院理学研究科)
題目
非線形波動方程式の解析から非線形消散波動方程式の解析へ
要旨
単独非線形波動方程式の初期値問題に対する一般論が完成したのが2001年、 その最適性に関する議論が終結したのが2014年である。 それと並行して解の時間大域存在に対する必要十分条件の解明が行われてきたが、 高次元空間ではいわゆる微分損失が大きく関わることがわかってきた。 その微分損失の方程式上での表現は、形の上では消散項のように見えなくもない。 そこで発表者は、あまり進展していなかった強い時間減衰のある消散項付き非線形波動方程式の研究を開始した。 最近の一連の研究で、減衰の強さがある閾値を超えると、解は今まで明らかにされてきたの熱的な振る舞いを するのではなく、波動的な振る舞いをすることが部分的にわかってきた。 本発表では、若狭恭平氏(東京理科大学)やNing-An Lai氏(中国・麗水学院)との共同研究に基づき 上記の全体像を紹介したい。