本年度の記録

2021年 1月14日(木) 15:00 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
David Declan Hughes 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
Large-Time Behaviour of Solutions to the 2-D Quasi-Geostrophic Equations
要旨

We consider the Cauchy problem for the quasi-geostrophic equations in 2 space dimensions with initial data. We use classical methods to construct strong solutions, and investigate the weakly linear behaviour of these solutions for large time in the critical and supercritical cases. In particular, we seek an optimal decay estimate, for the $L^q$-norm with $1 \leq q \leq \infty$, of an approximation of the solution by linear functions. We propose that the decay rate proven is optimal, as the approximation of the non-linear part of the solution can be bounded from both above and below, by the same power of time as the decay rate.

発表者
細野 竜也 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
アルツハイマー病を記述する誘引-反発型走化性方程式系の解の挙動
要旨

誘引-反発型走化性方程式系は Luca--Ross--Keshet--Mogilner によって, 免疫系脳細胞であるミクログリアの走化性挙動を記述する方程式として提唱された. 特にミクログリアの挙動はアルツハイマー病の症状に大きく影響し, ミクログリアに対する化学物質は誘引作用が高い場合は当症状の悪化, 反発作用が高い場合は当症状の軽減が推測される. 本発表では, 誘引-反発型走化性方程式系の初期値問題に対して空間3次元以上における化学物質の誘引作用が高い条件の下での解の有限時刻爆発について述べる.

発表者
佐藤 光汰朗 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
脆性材料に於ける亀裂の発生に対するフェーズフィールド接近法
要旨

亀裂の発生や進展の数理解析は近年,1998年にFrancfort-Marigoによって提唱された材料内の弾性エネルギーと亀裂の表面エネルギーの収支に着目した発展則を基礎に展開し,Francfort-Marigoエネルギー(以下,FMエネルギー)と呼ばれる汎関数の最小化問題など,変分解析の立場から盛んに研究されている.亀裂集合のハウスドルフ測度を含むFMエネルギーを正則化する手法の1つに,材料の損傷程度を相変数で表すフェーズフィールド法が知られている.ここでは,Ambrosio-Tortorelliによるフェーズフィールド法を用いたFMエネルギーの正則化に着目し ,亀裂の準静的過程に対応する偏微分方程式系を導出する.フルシステムは脆性破壊に由来するいくつかの特徴的な構造を持つが,本発表ではその特徴的な構造を共有する単純化された発展方程式を考え,その適切性や解の持つ定性的性質について述べる.

2021年 1月7日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
三宅 庸仁 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
Positivity of solutions to Cauchy problems for linear and semilinear biharmonic heat equations
要旨

本発表では, 高階放物型方程式の初期値問題の解の正値性について考察する. 二階放物型問題においては, 非負である任意の初期値に対する解は時空大域的に正値となる, 所謂, 正値性保存則が広く成立することが知られている. 一方, 高階放物型問題においては, 最も単純な重調和熱方程式に対する初期値問題 (P) においてさえ, 正値性保存則は一般に成立しない. 一般次元に対する問題 (P) の解の正値性に関する結果としては, 「ある時刻 T とコンパクト集合 K が存在し, 解は T 以降で K 上で正値となる」という, 時間終局的かつ空間局所的な正値性が成り立つような初期値のクラスが幾つか構成されているのみである. 本発表では, 問題 (P) の解が時空上で大域的に正値となるための十分条件を与える. さらに, この結果を応用し, 冪乗型非線形項をもつ半線形重調和熱方程式の初期値問題に対して, 時間大域的な正値解を構成する. なお, 本発表の内容は Hans-Christoph Grunau 氏 (Magdeburg University) と岡部真也氏 (東北大学) との共同研究に基づく.

「集中講義」
2020年 12月 21日(月), 22日(火), 23日(水), 24日(木), 25日(金)

会場
東北大学大学院理学研究科 川井ホール (これはオンライン形式で開催されます)
講師
内藤 雄基 氏(広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授)
講義題目
半線形熱方程式の自己相似解
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2020年 12月17日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
これはオンライン形式で開催されます
発表者
駒田 洸一 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
量子Zakharov系に対する爆発解の存在
要旨

イオン化プラズマ内のLangmuir波を記述する量子Zakharov系 に対する爆発解の存在について考える. 量子Zakharov系は通常のZakharov系に量子効果による4階の項が加わった 系であり, 4階Schrödinger方程式と4階波動方程式の連立系となる. 本発表では, 空間次元が6以上9以下である場合に, 有限時間または無限時間 で爆発する解の存在をvirial等式と分散型評価を用いて証明する方法について 紹介する.

2020年 12月10日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
Conghui Zhang 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
Pattern formation in a reaction-diffusion-ODE model with hysteresis in spatially heterogeneous environments
要旨

This talk is concerned with a reaction-diffusion-ODE system in non-uniform media. The system consists of a diffusive species and a non-diffusive species and models biological pattern formation. I shall prove the existence of (i) stationary solutions for all values of the diffusion coefficient D by applying a generalized mountain pass lemma, (ii) stationary solutions with transition layer for D sufficiently small by applying the singular perturbation method, and (iii) monotone stationary solutions for D sufficiently large by the upper and lower solution method. Also, the asymptotic stability of stationary solutions is studied.

「集中講義」
2020年 11月 30日(月), 12月 1日(火), 2日(水), 3日(木), 4日(金)

会場
これはオンライン形式で開催されます.
講師
長澤 壯之 氏(埼玉大学理工学研究科)
講義題目
幾何学的変分問題
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

「東北大学OS特別セミナー」
2020年 11月27日(金) 16:00 ~ 18:00

会場
これはオンライン形式で開催されます
発表者
黒田 隆徳 氏 (早稲田大学 理工学術院)
題目
放物型方程式論に基づく移流項付きKuramoto-Sivashinsky方程式の初期値境界値問題について
要旨

Kuramoto-Sivashinsky方程式(KS)はKuramoto-Tsuzuki(1976)により 複素Ginzburg-Landau方程式の平面波解が時空間に緩やかな不安定化を示す際に 散逸の効果が強い場合の位相の変化を記述する方程式として; またSivashinsky(1977)により火炎面の伝播を記述する方程式として導入された. 更にDandekar-Collins(1995)でベクトル場による移流の効果を取り入れたモデルが建てられた. Galaktionov-Mitidieri-Pohozaev(2008)では一次元区間の場合に様々な境界条件を課した 初期値境界値問題が取り扱われ,大域解の存在と非存在が考察された. 特に斉次Dirichlet境界条件を課すと一意時間大域解の存在が示された. また,Feng-Mazzucato(arXiv:2009.04029)では2次元トーラス上で時間大域解の一意存在が示されている. 本研究では,空間次元N=2,3の場合に有界領域上で斉次Dirichlet境界条件を課した初期値境界値問題を考察し, Ôtani (1982)で構築された非線型放物型方程式の非単調摂動理論の観点から得られた結果について報告する.

2020年 11月26日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
佐藤 拓也 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
消散型臨界冪をもつ非線型Schrödinger方程式の Gevreyクラスにおける解のL^2-減衰
要旨

3次の冪を有する空間1次元非線型Schrödinger方程式の初期値問題に対し, Kita-Shimomuraは非線型冪の係数を実数から虚部が負となる複素数に拡張することで, 実数係数の場合は保存される解の総質量が時刻無限大で減衰することを示した. ここでは解の質量が減衰するための臨界指数となる3次の臨界冪を持った 消散型非線型Schrödinger方程式に対して, Gevreyクラスにおける時間大域解を構成し, Gevrey指数に応じてその質量が時間遠方で速く減衰することを述べる.

2020年 11月19日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
中里 亮介 氏 (東北大学 大学院理学研究科)
題目
臨界Fourier-Besov空間に於けるHall効果を持つ 非圧縮性磁気粘性流体方程式系の時間大域適切性について
要旨

Hall効果を持つ磁気粘性流体方程式系 (以下, Hall-MHD) は 磁気リコネクションが引き起こす, オーロラの生成過程や核融合 を制御するためのシミュレーションに用いられる物理モデルである. 非圧縮性Hall-MHDに対しては, 磁場が空間遠方で消滅する仮定の下で, 2014年に Chae-Degond-Liuにより, 非斉次Sobolev空間上での時間大域適切性が証明されている. 本発表では, 空間遠方で定数磁場が働くHall-MHDの時間大域適切性を 臨界Fourier-Besov空間の枠組みで考察する. 特に, 証明の鍵である Fourier-Besov空間を基調にしたChemin-Lerner空間上の 解の最大正則性評価について詳しく述べる.

2020年 11月12日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
林 仲夫 氏 (東北大学 数理科学連携研究センター 特任教授)
題目
Inhomogeneous Neumann-boundary value problem for nonlinear Schrödinger equations with a power nonlinearity
要旨

We consider the inhomogeneous Neumann-boundary value problem for nonlinear Schrödinger equations with a power nonlinearity in the upper half space. We present some results on global existence in time and time decay of small solutions to integral equations associated with the original problem. This is a joint work with E.Kaikina and T.Ogawa.

「集中講義」
2020年 11月 2日(月),4日(水),5日(木),6日(金)

会場
東北大学大学院理学研究科 川井ホール (これはオンライン形式で開催されます)
講師
肥田野 久二男 氏(三重大学教育学部)
講義題目
非線形波動方程式
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2020年 10月29日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
中野 史彦 氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目
1次元ランダムシュレーディンガー作用素の固有値・固有関数のスケーリング極限について
要旨

1次元ランダムシュレーディンガー作用素はそのポテンシャルの空間遠方での減衰オーダーにより様々なスペクトル構造, 及び準位統計(固有値の局所分布)を持ち, 特に「臨界オーダー」においてはランダム行列理論におけるベータアンサンブルのスケール極限と密接に関連する. 発表では, 固有値と対応する固有関数のなすランダム測度を考え, そのスケーリング極限を調べた結果について報告する.

2020年 10月22日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
田中 敏 氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目
Perturbation of planar quasilinear differential systems and its application
要旨

これまで, Laplace 作用素の膨大な結果が $p$-Laplace 作用素に一般化されてきた. その過程で様々な技法が開発され, 多くの場合, 自然な一般化が成し遂げらている. その一方で, $p$-Laplace 作用素の非線形性により, 線形化することができずに, その解析に困難を伴うことがしばしばある.

本発表では, $p$-Laplace 作用素をもつある楕円型方程式の研究にも現れる2次元非線形系の原点まわりの解の挙動を調べる. その非線形系は, 原点近傍において直接には, 線形化することはできないのだが, 系をある種の摂動問題としてとらえることで, 線形化に似たようなことが可能となる. その結果を楕円型方程式に応用して, 新たな結果が得られることなどを紹介したい.

本発表は, 板倉健太氏, 鬼塚政一 (岡山理科大学) との共同研究に基づくものである.

「集中講義」
2020年 10月 13日(火),14日(水),15日(木),16日(金)

会場
これはオンライン形式で開催されます.
講師
楠岡 誠一郎 氏(京都大学大学院理学研究科)
講義題目
確率量子場モデルと確率偏微分方程式
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2020年 10月8日(木) 16:30 ~ 18:00

会場
東北大学 数学棟209号室 (これはオンライン形式で開催されます)
尚, 通常の応用数理解析セミナーと開催場所が異なりますのでご注意下さい.
発表者
Lorenzo Cavallina 氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目
優決定問題における同時非対称摂動法
要旨
本発表では、Bernoulli型自由境界問題、二相Serrin型優決定問題等のように固定境界と自由境界を伴う優決定問題を扱う。詳述すると、与えられた固定境界に対して優決定問題を可解とする自由境界を構成する方法を考える。ここで、固定境界と自由境界が同心球面の場合「自明解」といい、その他の解のことを「非自明解」という。論文Cavallina-Yachimura (ESAIM: COCV 2020)では、自明解に適切な摂動を加えることによって非自明解を構成した。同論文で得られた非自明解の固定境界と自由境界は同じ正則性を有する。本発表では、上述の論文の議論を改善し、与えられた固定境界の正則性が低い場合でも正則性の高い自由境界を構成する方法を紹介する。

「東北大学OS特別セミナー」
2020年 9月4日(金) 16:00 ~ 18:00

会場
本セミナーはオンライン形式でのみ開催されますのでご注意下さい.
発表者
向井 晨人 氏 (東京大学大学院数理科学研究科 博士課程後期3年)
題目
Refined construction of type II blow-up solutions for semilinear heat equations with Joseph-Lundgren supercritical nonlinearity
要旨
非線型放物型方程式の典型例として広く知られる藤田型方程式は 優線型な非線型項を有しており, 拡散項の効果がこれを下回る場合に 解の$L^\infty$ノルムが有限時刻で無限大に発散する現象が生ずる. これは解の爆発と呼ばれ現在までに膨大な研究がなされている. その中でも本発表では1994年に Herrero-Velázquez が提唱した 接合漸近展開法による Type II 爆発解の構成のメカニズムを 踏襲及び改良して得られた結果について紹介する. 尚, 本研究は大阪市立大学の関行宏先生との共同研究に基づく.

2020年 7月 30日 (木) 16:30 開始

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
小川 卓克 氏 (東北大学大学院理学研究科, 数理科学連携研究センター)
題目
Maximal regularity in BMO for the Cauchy problem of the Stokes equation
(Stokes 方程式の初期値問題に対するBMO最大正則性について)
要旨
Maximal regularity for the Cauchy problem of parabolic equations ensures regularity (differentiability and integrability) for each term of the equation from regularity for data and  external terms and it corresponds to the elliptic estimate for elliptic partial differential equations or the Strichartz-Brenner estimates for dispersive equations. Starting by V.A.Solonnikov in $L^2$ spaces, the general theory is now extended into a framework of Banach space of unconditional martingale differences (UMD) and the equivalent condition for maximal regularity is established. Since a UMD Banach space is necessarily reflexive, maximal regularity for non-reflexive Banach space requires an individual discussion. In this talk, we consider maximal regularity for the heat and Stokes equations in the class of bounded mean oscillation (BMO) as an example of non-reflexive Banach space. This is based on a joint work with Prof. Senjo Shimizu (Kyoto Univ.).

(放物型偏微分方程式の初期値問題に対する最大正則性は外力項の持つ 正則性(可微分性・可積分性)を方程式を構成する各項が保つことを保証する 評価で, 楕円形偏微分方程式の楕円型評価, あるいは分散型偏微分方程式の Strichartz-Brenner 型時空評価に対応する. V.A. Solonnikov により得られた$L^2$を 基礎とした評価はその後, UMD(無条件 martingale 差条件)なる Banach空間での一般論に拡張され, 最大正則性成立の必要十分条件が 確立されている. しかしUMDならば必然的に回帰的となるため, 非回帰的Banach空間における最大正則性は各論とならざるを得ない. ここではその一例として有界平均振動のクラス(BMO)における, 熱方程式及び Stokes 方程式の最大正則性を考える. この結果は清水扇丈教授 (京大)との共同研究による.)

2020年 7月 22日 (水) 17:00 開始 (開催日時/開始時間が通常と異なりますのでご注意下さい.)

会場
本セミナーはオンライン形式でのみ開催されますのでご注意下さい.
発表者
Leo Hahn Lecler 氏 (École normale supérieure, France)
題目
Stochastic Schrödinger-Lohe Model
要旨
In the Schrödinger-Lohe model we consider wave functions that are coupled by a certain system of partial differential equations. This model has been extensively studied over the last decade and it was shown that under rather mild assumptions on the initial state of the wave functions, if one waits long enough all the wave functions become arbitrarily close to each other, which we call a synchronization. We consider a stochastic perturbation of this model and establish different synchronization results for this model as well.

2020年 7月 16日 (木) 16:30 開始

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催を予定しています)
発表者
Md. Rabiul Haque 氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目
Critical Well-posedness of the Cauchy Problem to the Convection-Diffusion Equations in Uniformly Local Lebesgue Spaces
要旨
We consider the Cauchy problem of the convection-diffusion equations in uniformly local Lebesgue spaces. Uniformly local Lebesgue spaces is a space of functions which have the property that their elements have some uniform size when measured in balls of fixed radius but arbitrary center. Uniformly local Lebesgue spaces unlike the general Lebesguespaces, since the class of compact supported smooth functions is not dense, the heat semigroup cannot generate the $C_0$-semigroup. We construct the solution by the method of the integral equation via the heat semigroup in the case including the exponents before and after, in particular case of the critical exponent, the solution can be appropriately obtained even in the critical space.

2020年 7月 9日 (木) 16:30 開始

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室 (これはオンライン形式で開催されます)
発表者
岡部 真也 氏 (東北大学大学院理学研究科)
題目
On the isoperimetric inequality and surface diffusion flow for multiply winding curves
要旨
本発表では平面閉曲線に対する曲線拡散流の初期値問題を考える.平面閉曲線に対する曲線拡散流の定常解は多重巻きも許容した円に限られるため,初期値問題が時間大域解をもつならば,解はそのいずれかに収束することが期待される.実際,回転数が1の場合には Elliott--Garcke (1997),Escher--Mayer--Simonetto (1998),Wheeler (2013) などによって,初期曲線が適当な意味で円に近いならば,初期値問題の時間大域解が存在することが示されている.本発表の目的は,回転数一般の場合に時間大域解が存在するための初期曲線の十分条件を明示することである.発表ではその証明の概略を述べるとともに,証明の鍵となる回転数一般の場合への等周不等式の拡張についても言及する.なお,本発表は三浦達哉氏(東京工業大学)との共同研究に基づくものである.